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  イプシロンロケットの性能とこれまでの歩み

イプシロンロケットの性能とこれまでの歩み等について書いてみました。小型ロケット「イプシロン」2号機が2016年12月20日午後8時に宇宙航空研究開発機構(JAXA)の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられました

 

未来を切り拓く次世代ロケット「イプシロン」

 

日本のロケットの歩み


あなたの記憶の中に小惑星探査機「はやぶさ」の活躍はまだ残っているでしょうか?実はそのはやぶさを宇宙に送り届けたのが、「イプシロン」の前身、日本が誇る固体ロケット「M-V」(ミュー・ファイブ)でした。

 

"世界最高性能"とも呼ばれたこのロケット、実は、コスト高を理由に2006年に廃止されました。そしてその後継として全くのゼロから開発が進められたのが今回打ち上げに成功した次世代ロケット「イプシロン」だったのです。

 


ペンシルロケットに続き、日本のロケットは「ベビー」「K(カッパ)」と徐々に大型化。そして「L(ラムダ)」シリーズに至り、

 

 

1970年代ついに「L-4S」ロケットが日本初の人工衛星「おおすみ」の打ち上げに成功。日本は旧ソ連、米国、フランスに次ぎ、世界で4番目の衛星打ち上げ国となりました。

 

本格的な衛星打ち上げに乗り出したのは、その直後の「M(ミュー)」シリーズになってからで、1971年第1世代の「M-4S」により、日本初の科学衛星「しんせい」の軌道投入に成功します。

 

そして1985年、能力をさらに向上させた第4世代の「M-3SII」は、ハレー彗星に向けて「さきがけ」「すいせい」といった2機の探査機を打ち上げました。

 

日本が開発した固体ロケットの図表

日本が開発した固体ロケット

引用:JAXA

ペンシルロケットからMシリーズまでのロケットは、全て固体の推進剤(燃料)を使う「固体ロケット」です。

 

ロケットにはこのほか、液体の推進剤を使う「液体ロケット」もあり、一般的に固体推進は小型ロケットに、液体推進は大型ロケットに適しているとされています。

 

全段固体(燃料)のロケットで地球重力圏の脱出に成功したのは、M-3SIIが世界で初めてだったそうです。

 

日本の固体(燃料)ロケットの集大成として完成したのが第5世代の「M-V」ロケットで、4号機での打ち上げ失敗はあったものの1990年の火星探査機「のぞみ」や2003年の小惑星探査機「はやぶさ」を打ち上げるなど活躍、日本の宇宙科学の発展に貢献しました。

 

 

イプシロンとはどんなロケット?今までのロケットとは何が違うのか?


キーワードは「自律点検」と「モバイル管制」

 

イプシロンロケットは「打ち上げシステム」に革新を起こしています。ロケットの開発は今、世界的に大きな転換点に差し掛かっているといわれています。これまでの半世紀、宇宙開発はアポロ計画やスペースシャトルなど輝かしい成果を上げ、性能を上げることに注目がされてきました。

 

 

しかしこれからの時代、重要なのは、ロケットの性能だけではなく、製造から運用まで全て、トータルで考え、打ち上げシステム全体を、コンパクト・シンプル・低コストにしていく必要があるといわれています。

 

 

現在のロケットは複雑で、設備は大きく、人数も大勢必要。時間もすごくかかります。ロケットを高頻度に打ち上げるためには、もちろんコストだけでなく、点検、運用が少人数・短期間でできる必要があり、イプシロンロケットでは、少人数・短期間での点検・運用が実現しています。そのために採用したのが「自律点検」と「モバイル管制」でした。

 


ロケットの点検でなにが一番大変かと言うと、バルブや電気モーターなど、電気を流してモノを動かすような部分の機能確認。メカとエレキが組み合わされた場所というのは複雑で壊れやすく今まで、この点検は実際に電流を流してみて、その波形から熟練のエンジニアが判断していました。

 

 

 

これを1つ1つやっていくから、当然ながら時間がかかります。この部分を、イプシロンでは機械に自律的に判定させます。波形を見て異常か正常かを判断するのは、民生分野では、例えばすでに心電図で実現されています。イプシロンの自律点検機能は、この技術をロケットに応用しました。

 

 

ロケットには、通信系、電源系、誘導制御系など、各部のコンポーネントごとに点検装置が搭載されていて、1機のロケットでは通常、それが全部で20〜30個にもなります。それぞれの点検装置には担当者が何人も付くことになるため、今の管制室は人や機械で一杯の大きな部屋になっていますが、点検が簡素化されれば、パソコン数台で管制ができるようになります。

 

 

 

モバイル管制というのは、大きな管制室を、モバイルできるくらいコンパクトなものにしており、ロケットのすぐそばの地下でやらなくて良くなったので、射場から数km離れた場所にプレハブのような簡素な建屋を作って、そこからでも管制ができます。

 

 


また、固体(燃料)ロケット本来のメリットは、必要な時にすぐに打ち上げられる「即応性」の高さですが、今までは複雑すぎて生かし切れていませんでした。その本来の良さを、イプシロンロケットで引き出せるようになりました。

 

 

固体(燃料)ロケットには様々なメリットがあり液体ロケットに比べて部品点数は少なく、組み立ても点検も簡単、M-Vロケットでは42日かかっていたが、イプシロンロケットでは7日まで短縮されました。

 

 

固体ロケットと液体ロケットの"いいとこ取り"

 

 

イプシロンロケットはシンプルさが極限まで追求され、これまでとは劇的に違うといいます。まず複雑なエンジンがいらなく、固体ロケットのモーターは、単なる筒に出口があるだけで、液体ロケットと比べると、部品点数は倍くらい違うそうです。

 

 

ロケット開発の半分以上はエンジン開発で、液体ロケットの開発に時間も人数もお金もかかるのは、エンジンを開発するのがものすごく大変で、H-IIの開発には10年近くかかったそうですが、イプシロンロケットは実質3年で初号機を打ち上げています。

 

 

新しいことも試しやすく液体ロケットでは、なにか新しいことをやろうとしても、打ち上がる10年後には陳腐化していますが、固体(燃料)ロケットならば3年で上がるので、いま最新のことをやっておけば、上がったときにも世界一である可能性が高い。短期間で実証できるのが固体(燃料)ロケット、イプシロンの大きな強みになっています。