m-a-p-s.biz.ニュース

あらゆるジャンルのニュース情報を紹介

鶏の生肉メニューに厚生労働省が対策

鶏の生肉メニューである、レバーやささみの刺し身、たたきなど、鶏の生肉メニューの提供を見直すよう、厚生労働省が焼き鳥店など各飲食店に呼びかけています。いったいどういう事情なのかをまとめてみました。


鶏の生肉メニューは規制なし

厚生労働省が対策規制をする主な理由は、感染すると激しい腹痛や下痢を引き起こす細菌性食中毒「カンピロバクター」による食中毒を防ぐためとしています。牛レバーや豚の生食は規制されていますが、現在鶏の生食についてはまだ規制がされてなく、大規模な食中毒も起きており9、10月も食中毒の発生が多い時期、引き続き注意が必要としています。東京都内で約半世紀続いている焼き鳥店経営者は「刺し身やたたきは創業以来の人気メニューです。細菌性食中毒であるカンピロバクターについては特に気をつけており、焼き鳥用とは別に、鶏の生肉メニュー用は当日朝にさばかれた鳥肉を仕入れ鮮度には十分すぎるほど気を使います。かつては軽く湯通しだけでしたが、牛生肉の食中毒が盛んに報道された後は表面が白くなるまでゆでています。今は卸業者からも生食用ではないと言われていますが細菌性食中毒であるカンピロバクターなど食中毒はこれまで起こしたことはありません」といいます。

厚生労働省の方針

厚生労働省は2016年6月に全国の保健所に鶏の生肉メニューの提供について対策強化を指示しました。しかし現時点ではこれはあくまで要請とのこと、「生や半生で提供する鶏肉メニューを見直しましょう」と書いたチラシを初めてつくり、75度で1分間、中心部まで十分に加熱することを飲食店に要請しています。客向けのチラシも用意し「よく加熱された鶏肉料理を選びましょう」と呼びかけていきます。

鶏の生肉メニューでの原因

 

今回の要因のひとつに鶏の腸などにいるカンピロバクターという細菌があげられています。カンピロバクターは細菌性食中毒の約6割を占め、全国で例年300件、約2千人が発症。2016年4月5月に東京と福岡で開かれた肉料理のイベントで、同じ業者の鶏ささみや胸肉のすしを食べた計800人以上が腹痛や下痢など食中毒になり、今回の呼びかけのきっかけとなりました。厚生労働省の発表では2016年6月~8月全国でカンピロバクターによる食中毒が56件あり患者は395人。原因食品が判明しているうち半数以上が鶏肉料理だったとのことです。加熱すれば死滅しますが、さばく際に腸を傷つけるなどして付着し、加熱不十分だと感染の恐れがあります。食用処理した鶏肉の67%から見つかったとの厚労省研究班の報告もあり、「新鮮だから安全」とは言えないともいわれています。また「田辺公一」龍谷大准教授(微生物学)は食中毒後に、手足が動かなくなる「ギラン・バレー症候群」を発症する危険性があると指摘。「ごく一部地域での習慣であった鶏の生食が、インターネットの発達で、リスクが十分考えられずに安易に広まっているのではないか」と指摘します。

今後の対策など

生肉をめぐっては2011年に牛肉のユッケで5人が死亡する食中毒があり、2012年に厚生労働省は牛生レバー提供を禁止。代わって需要が増えた豚の生レバーなども2015年に禁止しました。現在、鶏肉に規制はありませんが、厚生労働省は2013年に生食対策の有識者会議を設置。2014年に出た報告書は、鳥は牛や豚に比べると命に関わる危険性は高くないとして、「いきなり禁止」ではなく、流通時点でカンピロバクター汚染が防げるか研究したうえで対策をとるよう求めました。 厚生労働省の担当者は「鶏の生食は一定の需要、食文化もある。急速冷凍や新しい消毒薬で細菌を減らす一方、軽い下痢で済むこともあり、氷山の一角とされる」と話しカンピロバクター食中毒の件数把握も進めていき、発生は夏に多く、2020年東京五輪での外国人観光客増の妨げとなるのを避ける狙いもあるようです。また鳥の生産業者や加工業者が加盟する日本食鳥協会の大島照明・専務理事も「飲食店では鮮度や品質の象徴として生や半生の鶏料理が提供されているが、鶏肉は生では食べないのが大前提。食べるなら消費者にも覚悟を持ってもらうしかない」と話しています。

カンピロバクター食中毒とはどんな食中毒か

主な原因食品は、生あるいは加熱があまりなされていない鶏肉(鶏刺し、タタキなど)、加熱不十分な鶏肉(バーベキュー、鶏鍋、焼き鳥など)、あるいは鶏肉から調理過程の不備で二次汚染された食品などです。また、牛レバーの生食が原因になった食中毒事例や、井戸水、湧水、簡易水道水など消毒不十分な飲用水による感染事例もあります。

 

症状の現れ方

潜伏時間は1〜7日(平均2〜3日)で、他の食中毒菌と比較して長いのが特徴です。主な症状は、下痢(水様便、まれに血便や粘液便)、腹痛、発熱(37・5〜39・5℃が多く、40℃以上の高熱はまれ)です。このほか、頭痛、悪寒、倦怠感(けんたいかん)、筋肉痛などが現れることもあり、初期症状はかぜと間違われることもあります。2〜5日程度で回復しますが、時に長引いたり、ギラン・バレー症候群やフィッシャー症候群を起こすことがあります。

 

検査と診断

確定診断は、便の細菌検査によるカンピロバクターの検出で、抗菌薬投与前に便の検査を行うことが重要です。

 

治療の方法

自然軽快することが多く、輸液や食事療法で大部分は治りますが、場合によっては適切な化学療法が必要です。第一選択薬はエリスロマイシンなどのマクロライド系抗生物質、そしてホスホマイシンです。セフェム系抗生物質に対しては多くの菌株が自然耐性(たいせい)(薬が効かない)をし、ニューキノロン系抗生物質に対しては耐性菌を誘導することがあり、耐性菌も増加しているので注意が必要です。

 

予防のために

カンピロバクターは食材のなかでは鶏肉や牛レバーから最も高率に検出されるので、
生あるいは加熱不十分の鶏肉や内臓肉を食べることはひかえるべきです。熱や乾燥に弱いので、調理器具は使用後によく洗浄し、熱湯消毒して乾燥させることが重要です。 また、食肉からサラダなどへの二次汚染を防ぐために、生肉を扱う調理器具と調理後の料理を扱う器具は区別すること、生肉を扱ったあとは手指を十分に洗浄することも重要です。冷蔵庫内で、生の食肉と他の食品との接触を避けることも重要です。 未殺菌の飲料水(野生動物の糞などで汚染される可能性のある井戸水、沢水など)を飲まないこと、小児ではイヌやネコなどの保菌動物への接触で感染することもあるので、便などに触らないなどの注意が必要です。